
「なかなか授からない……」
その悩み、もしかするとあなたの「自律神経」が常に戦っているせいかもしれません。
私たちの身体には、自分の意思とは無関係に働く「自律神経」があります。
これには、日中の活動や興奮を司る交感神経と、夜間やリラックス時に働く副交感神経の2種類があります。
この2つがシーソーのようにバランスを取り合うことで健康を維持しています。
しかし、現代人の生活はこのバランスが著しく崩れ、「交感神経が暴走している状態」にあると言っても過言ではありません。
本来、交感神経は「闘争か逃走か(Fight or Flight)」を判断する時に働く神経です。
原始時代であれば、目の前に猛獣が現れた時に、心拍数を上げ、筋肉に血流を集中させ、一気に逃げるか戦うかをするためのスイッチでした。
ところが現代では、猛獣の代わりに以下のような要因が私たちの交感神経を24時間叩き続けています。
寝る直前までスマホを見る行為は、脳に「今は昼間だ」と誤認させ、常に覚醒状態を強いています。
常にメールや通知に追われ、人間関係の摩擦にさらされることで、脳は「常に敵に囲まれている」と判断し、攻撃モードを解除できなくなります。
過剰な添加物や高糖質の食事は、内臓に負担をかけ、消化活動そのものが身体にとっての「ストレス(攻撃)」となり、交感神経を刺激します。
このように、現代人は眠っている間ですら、身体のどこかが「攻撃モード」のまま、緊張が解けていないのです。
では、なぜ交感神経が優位だと妊娠しにくくなるのでしょうか。
その答えは、身体の「生存優先順位」にあります。
生命維持のシステムにおいて、優先順位が高いのは「今、この瞬間に生き延びること」です。
交感神経が優位(=攻撃・避難モード)な時、身体はエネルギーを脳や心臓、骨格筋に優先的に配分します。
一方で、生殖機能(子宮や卵巣)は「今すぐ生きるためには必要ない機能」として、後回しにされてしまうのです。
血管が収縮し、末梢である子宮や卵巣への血流が滞ります。これにより卵子の質が低下したり、子宮内膜が厚くなりにくくなったりします。
性ホルモンの司令塔である視床下部は、自律神経のコントロールセンターでもあります。自律神経が乱れれば、当然、排卵や月経に必要なホルモン分泌も乱れます。
対照的に、リラックスしている時に優位になる副交感神経は、メンテナンスの神経です。
副交感神経がしっかりと働いている時、呼吸は深く、血管は拡張し、内臓に十分な血液が流れ込みます。
この状態こそが、「自分自身を癒やし、新しい命を受け入れるための準備モード」なのです。
「副交感神経を働かせる」ということは、単にサボるということではありません。
身体に対して「今は安全だよ、敵はいないよ、命を育んでも大丈夫だよ」というサインを送る、非常に能動的な妊活なのです。
不妊治療と聞くと、つい薬や高度な医療に目を向けがちですが、土台となるのはあなたの「生活習慣」です。
自律神経を整えるために、まずは以下の3つから見直してみましょう。
① 「デジタル・デトックス」の時間を設ける
寝る1〜2時間前にはスマホを置き、間接照明で過ごしましょう。
目から入る情報を減らすだけで、交感神経のスイッチをオフにしやすくなります。
② 「吐く息」に意識を向ける
呼吸は自律神経をコントロールできる唯一の手段です。
ストレスを感じた時こそ、吸う息の2倍の時間をかけて「ふぅーっ」と息を吐ききってください。
これだけで副交感神経が強制的に起動します。
③ 食生活を「自然」に近づける
可能な範囲で添加物を控え、温かい飲み物を摂りましょう。
内臓を温めることは、副交感神経を優位にする最も手軽な方法の一つです。
「頑張らなきゃ」と思えば思うほど、交感神経は高ぶります。
妊活において最も大切なのは、実は「頑張ること」ではなく、「頑張りすぎている自分を緩めてあげること」かもしれません。
あなたの身体が「ここは安全な場所だ」と確信したとき、新しい命を迎える準備が整います。
まずは今日、5分だけ目を閉じて、何も考えずに深く呼吸をすることから始めてみませんか?